【コラム】伊勢のしめ飾り文化 ー蘇民将来ー
更新日: 2025.12.17
今年も年末に入り、皆さんも来年の準備を進めていることだと思います。
お正月の準備と言えば、門松、と言いたいところですが、
なかなか個人の家で門松を飾るところは今少ないと思います。
皆さんにもなじみのあるお正月の飾りと言えばしめ飾りではないでしょうか。

お正月に飾るしめ飾りですが、伊勢では一年中飾ります。
正月が終わっても、桜がきれいな季節になっても暑くなっても
しめ飾りを見かけることができます。
これは、「蘇民将来」という民話に基づくものです。

簡単に説明すると、
ある時旅人が一夜の宿を探していた時に、蘇民将来という男が自分の家に泊めました。
この旅人は実は神様、一説によるとスサノオノミコトとも言われていますが、
その神様は、自分も貧しく余裕がないにもかかわらず快く宿を貸してくれたことに感動し、
おまえの子孫だとわかるようにしておけば厄災から守ってやろう、
それ以来「蘇民将来子孫家」と書いたしめ飾りを年中掲げるようになった、
大分ざっくりですが、こういうことです。

なので、伊勢に来たら家の玄関を見てみてください。
しめ飾りを飾っていると思います。
ただ、しめ飾りは葬儀がある家では外すことになっています。
他の地域ではしめ飾りをするのはお正月の間だけなので可能性としてはそこまで高くないと思いますが、
伊勢では年中飾っているので、注意が必要になります。
そして、葬儀が終わってもすぐにしめ飾りは飾らず、喪中の間は自粛しておくといいと思います。